気候変動への取り組みClimate Change Initiatives

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気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への取り組み

ハイデイ日高では、「気候変動」を重要な経営課題の一つとして認識しており、2023年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同を表明いたしました。

TCFD TASK FORTH ON CLIMATE-RELATED FINANCIAL DISCLOSURES

TCFD提言に沿った開示内容

TCFDが提言する4つの開示基礎項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」ごとに、気候変動に対する考え方を開示します。

ガバナンス

当社では、気候変動対策など当社の環境・社会・ガバナンスへの取り組みをより一層強化するため、2023年3月よりサステナビリティ委員会を設置したしました。
委員会は四半期に一回開催され、代表取締役社長を委員長とした取締役、執行役員含む各部門長から構成されており、気候変動対応を含むサステナビリティに関する方針、目標、実行計画の策定、リスク・機会の特定とそれらへの対応策の検討、サステナビリティ目標に対する推進管理や評価、個別施策の審議を担っています。
また、その内容を四半期に一回、取締役会に報告しており、取締役会は委員会で検討した気候変動に関する重要なリスク・機会についての審議内容を監督しています。当社の気候変動対応の責任者は、代表取締役社長が担っています。

気候関連課題に対するガバナンス体制

サステナビリティ委員会は委員長が代表取締役社長、委員が各部門長、リスク管理委員会は委員長が執行役員、総務部長、委員が各部門長、双方取締役、執行役員を含み相互に連携し各部門と報告・推進、取締役会と報告・監督を相互に行っています。

戦略

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討いたしました。また、1.5℃~2℃シナリオと、4℃シナリオのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施しました。

分析のプロセス

分析のプロセス

気候変動シナリオについて

1.5℃~2℃シナリオ

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5~2℃未満に抑えることを目指したシナリオ。1.5℃シナリオでは、移行リスクの中でも政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオに比べて大きくなると想定されている。

4℃シナリオ

気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオ。物理リスクにおける異常気象の激甚化や海面上昇リスクによる影響が大きくなると想定されている。

1850~1900年を基準とした世界の平均気温の変化。4℃シナリオは物理リスク大、1.5℃~2℃シナリオは移行リスク大。

出典︓IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約暫定訳(文部科学省及び気象庁)
IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.8を転載

リスク / 機会のインパクトと対応策

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リスク/機会 要因 事業への影響 財務影響度 時間軸 対応策
移行リスク 政策・規制 炭素税導入・炭素税率の上昇 炭素税の負担費用の増加 長期 再エネ導入拡大、省エネ設備投資増加
炭素税導入による調達コストの増加 長期 低炭素製品調達への移行
技術 低炭素設備の導入 店舗、工場への低炭素設備導入におけるコストの増加 短期 インターナルカーボンプライシングの導入検討
評判 気候変動対応への遅れ 気候変動への対応の遅れによる投資家評判低下、株価の下落 短期~中期 気候変動対応情報の積極開示
物理リスク 慢性 気温の上昇や降水パターンの変化 気温上昇による製造過程の温度管理コストの増加 中期~長期 省エネルギー空調設備の導入
気温上昇による病害虫の増加に伴う収穫減少、調達コストの増加 長期 産地変更の対応
海面上昇 取引先被災に伴う調達コストの増加 長期 サプライヤーのBCP策定と継続的な見直し依頼
急性 異常気象の激甚化 洪水被害による工場・店舗操業度低下に伴る売上の減少 短期~中期 洪水リスク評価に応じ重点的な対応
機会 資源効率 食品ロス率の低減 食品ロス削減メニューの提供による廃棄物処理コストの低下 中期 食品ロスメニューの開発
原材料調達の最適化 輸送距離の短縮による調達コストの削減 短期 食材調達先の分散
製品と
サービス
環境配慮メニュー開発の促進 植物性タンパク質を使った環境配慮食材利用メニュー提供に伴う売上増加 中期 植物性タンパク質を用いたメニューの開発
市場 エシカル消費の促進 エシカルフード需要の増加に伴う売上増加 短期~中期 エシカルフードの開発
  • 想定時期 短期:~3年 / 中期:3年~10年/長期:10年~30年
    リスク影響度 大:売上10%以上の影響/ 中:売上1%~10%以上の影響/小:売上1%未満の影響

リスク影響金額の算出

炭素税の導入・炭素税率の上昇(移行リスク)

移行リスクについて、様々な規制などが導入される脱炭素シナリオに基づき当社に影響する炭素税リスクの影響額を算出いたしました。影響額の算出方法としては、2030年度の当社Scope1-2排出量に「IEA WEO2022 Net Zero Emissions by 2050 Scenario」を参考にした炭素税単価を乗じて算定しております。2030年度の排出量は、2022年度の事業活動を据え置きとしたシナリオと、2018年度比の排出量削減目標を達成したシナリオの2パターンにおいて算出しました。算出の結果、削減目標を達成した場合、炭素税額は約1.1億円削減でき、約5.6億円になると見込んでいます。

  • 2018年度のScope1-2排出量を43,855t-CO2として試算
  • 2022年度のScope1-2排出量を36,722t-CO2として試算
  • IEA NZEをもとに、炭素税単価を2030年$140 /t-CO2と設定
  • 1ドル=130円と設定
財務影響額の算出結果
2030年度
CO2排出量 影響額
CO2削減対策がない場合 36,722 t-CO2 約668百万円
CO2削減目標を達成した場合 30,699 t-CO2 約559百万円
削減額 - ▲110百万円
異常気象の激甚化による店舗操業停止(物理リスク)

物理的リスクでは、「IPCC RCP8.5シナリオ」と、国土地理院による「重ねるハザードマップ」を参考に、急性リスクである異常気象の激甚化による洪水の発生について検討しました。
分析の結果、洪水発生により主要工場の行田工場で最大2mの浸水リスクの可能性があるほか、店舗においては江戸川、荒川流域で計106店舗が最大5mの浸水被害を受ける可能性があります。
財務影響額の算出方法としては、該当店舗における売上金額と、浸水による操業停止、停滞日数から試算しており、仮に100年に一度発生するような規模の洪水が発生した場合の最大被害額は約938百万円と試算されました。

財務影響額の算出結果
江戸川・荒川流域
被害店舗数 106店舗
影響額 約938百万円
江戸川、荒川流域における浸水深毎の店舗数

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浸水深 ~0.3m 0.3m~0.5m 0.5m~3m 3m~5m 5m~10m 合計
被害店舗数 0店舗 4店舗 52店舗 50店舗 0店舗 106店舗
リスク低減への取り組み
再生可能エネルギーの導入/省エネ設備の導入/食用油のリサイクル

当社では、更なる環境保全に取り組むため、行田工場における太陽光発電設備の導入や店舗における省エネ設備の導入、全店舗から排出される使用済み食用油のリサイクルを実施しております。
特に食用油リサイクルにおいては、全店舗(FC店舗を除く)にて実施しており、中華料理チェーンでは初めての試みになります。回収された食用油は、世界的に注目されているSAF(持続可能な航空機燃料)などのバイオ燃料の原料となり、石油から製造される燃料に比べ約80%のCO2排出量の削減を実現し、環境負荷の大幅軽減に貢献しております。
今後も環境に配慮した取り組みを積極的に行い、当社含むサプライチェーンにおける気候変動リスクの軽減のほか、社会の持続的な発展に貢献してまいります。

行田工場におけるBCP対策

物理リスクへの対応策として、行田工場では受変電設備や受水槽、事務所出入口、搬入口等の嵩上げを実施しております。
これらの対策により、仮に荒川の氾濫が見られた場合でも、洪水被害を最小限に抑えることが可能になります。
また、浸水リスクの更なる低減策として、ハード面では防水板や止水シートの設置、ソフト面では事業継続戦略の検討をしてまいります。

受変電設備の嵩上げ
受水槽の嵩上げ

リスク管理

気候関連リスクを識別・評価するプロセス

当社では、気候関連リスクを含む、全社のリスクを網羅的、総括的に管理するとともに、個々のリスクの担当部署において定期的にリスクの洗い出し及び当該リスクの予防対策と軽減に取り組むため「リスク管理規程」を定め、取締役会の直下にリスク管理委員会を設置しております。気候変動リスクに関しては、主にサステナビリティ委員会によって当社事業への影響を考慮し、年に一度の頻度でリスクの抽出・影響度評価を行った後、取締役会に報告しております。

気候関連リスクを管理するプロセス

サステナビリティ委員会において識別・評価された気候関連リスクに関しては、リスクの軽減のためにリスク管理委員会にて予防対策、対応方針を決定します。リスク管理委員会では、リスクの影響度と発生頻度の2軸にてリスク評価を実施し、優先して取り組むべきリスクを特定しております。特定された優先度の高いリスクに関しては取締役会に報告された後、取締役会からリスク管理委員会を経て、関連する対応組織を定めて、リスク対応を行っております。

気候関連リスクの全社リスク管理への統合プロセス

全社のリスクを管理するリスク管理委員会は原則として半期に1回開催され、各リスク項目への対応状況に関する報告内容を管理しております。
気候変動リスクに関しても、全社的なリスク管理の観点と同様に管理され、統合的なリスク管理体制を構築しております。

指標と目標

気候関連問題が自社事業に及ぼす影響の評価や自社温室効果ガスの削減目標について詳しくはこちらの指標と目標をご確認ください。